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NPO法人ジャパンワイルドライフセンター(JWC)は野生動物の保護を目的として設立された野生動物保護団体です。

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動物・環境ニュース

2019/07/30
日本に存在した狼 〜鷲家口の最後のニホンオオカミ〜
現場に行ってみましたシリーズ #1
日本に存在した狼
〜鷲家口の最後のニホンオオカミ〜

 今月から、日本国内の野生動物に関するニュースや新聞記事で取り上げられた現場を訪れる「現場に行ってみましたシリーズ」を不定期にお届けいたします。第一回目は、すでに絶滅してしまったニホンオオカミのニュースを見つけたので、最後のニホンオオカミが捕らえられたといわれる現場に行ってきた模様を交えてお伝えします。
 5月29日のニュースに、奈良県吉野郡大淀町のヘ育委員会が所蔵しているニホンオオカミの頭骨が本物だったという記事が掲載されました。ミトコンドリアDNAを解析したところ、ニホンオオカミのものに間違いないという結果になったとのことです。詳しい内容はぜひ記事を検索してみてください。
 ニホンオオカミとは、1900年ごろには、日本に多数生息していたオオカミで、シカやイノシシなどを襲っていた日本の野生動物の頂点に君臨していました。しかし、江戸時代になると家畜を襲ったり、狂犬病を伝播させるという理由から、多くが殺され、明治維新後には、すでに著しく減少していました。1905年、奈良県鷲家口で捕らえられた若いおすが死んだのを最後に絶滅してしまいました。
 今回はその最後のニホンオオカミが捕獲された奈良県東吉野村鷲家口(現在の小川)に行ってきました。ここにニホンオオカミの等身大のブロンズ像が建てられています。かつてはこの地をニホンオオカミが群れをなして往き交い、獲物を追っていたのでしょう。きっと、高見川にも降りて、水辺にやってきたシカを襲っていたのかもしれません。
 日本の本州・四国・九州に生息していましたが、実際には何頭が存在していたのかは不明です。ほかの地域でのニホンオオカミの絶滅の要因としては、狩猟圧と生息環境の減少も含まれますが、東吉野村ほどの自然環境豊かな場所でも絶滅が起こってしまうということは、我々人類は、相当肝に命じて、自然に接していかなくてはならないと思います。
 「現場に行ってみました#1」については、会員向け活動報告書(JWC通信)で詳しく掲載しております。

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2019/07/09
コアラを絶滅の危機から救うために絶対に必要なもの
オーストラリア在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Koalas' 'functionally extinct' status challenged by people power determined not to give up

オーストラリアの動物の種の喪失は世界自然保護基金とオーストラリア保護財団の両者によって「絶滅の危機」とされているが、人々は最も象徴的な種の一つを守るために闘っています。
ボランティアの人々はコアラのためにニューサウスウェールズ州のバイロンベイからリズモアまでの50kmに及ぶ回廊地帯にコアラの餌となるユーカリの植林を行っています。

過去18ヶ月でBangalow Koalaは12,000本の木を植え、今年の終わりまでに25,000本、2025年までに100,000本の植林を予定しています。

Bangalow KoalasのLinda Sparrow社長は、回廊地帯の地図作成のために地方議会と協力しています。そして、そのグループは地主と直接連絡をとることによって行政の面倒な手続きも削減しています。

Sparrowさんは「私たちは政府の助けを得ることを気にしてはいません。ただ私たちは活動しているだけです。私たちには絶えず保護に参加したいと言って連絡をくれる人々がいます。」

彼女は、Bangalow Koalasのグループは、コアラは「機能的に絶滅している」というオーストラリアのコアラ財団の絶望的な主張に反対して、積極的に取り組んでいると述べました。

Environment and Communicationsの上院常任委員会による中間報告は、ヨーロッパ人の移住時点でオーストラリアに10,000,000匹いたコアラのうち、50,000匹だけが残っていると推定しました。他の説では、最大300,000匹、最低25,000匹とも言われています。

リズモアにあるFriends of the Koalaの代表者であるRos Irwin さんは、交通事故死、犬の攻撃、そして最も重大なことに生息地の破壊が生息数の減少の原因となったと述べています。

Friends of the Koalaは、毎年約400匹のコアラ救護に関与し、これは州全体の救護の約半分です。

Irwinさんは救護される個体はやや減少傾向で、それは地元の意識と民衆の活動の賜物であると述べています。

国際動物福祉基金はリズモアのFriends of the Koala施設を優れた世界的な施設の一つとして認定し、現在はコアラ動物看護師のMarley Christianさんの雇用のための資金を提供しています。

Christianさんは生息地の復活がコアラ生存の機会を得るために必要不可欠であると主張しています。

North East Forest Allianceは州政府の衛星画像を使用して、ノーザンリバーズ地域だけでも、森林伐採された面積が、2009年から2016年の間の4,600ヘクタールから2016-2017年度には11,000ヘクタールへと増加したと計算しました。

Friends of the Koalaのグループはリズモア南部のジベラギー州立森林公園でコアラ生息地の伐採を停止するために闘っており、土建業者のForestry Corporationが所有する機械に抗議のためにしがみつき、その後、二ヶ月間伐採を停止することを成し遂げました。

Australian Koala Foundationの議長であるDeborah Tabartさんはこの30年間のコアラの為の活動も、多くの人々の力を得なければ成し遂げられないものなのだと述べています
Tabartさんは「私は全てのコミュニティーのために被害を修復していますが、森林伐採を中止しなければ、人々による修復は間に合わなくなる」と主張しています。

「ブルドーザーの猛攻撃を規制するのは立法だけだ」

NSW自然保護協議会のCEOであるKate Smolskiさんは、政府レベルでの行動が、種の絶滅に有意義な進展のために不可欠であると述べています。

さらに彼女は、「それこそが絶対に必要とされるものです」と言いました。

「ここの野生動物たちはさらに4年間、政府が行動するのを待っていられません。我々は多くの後退のステップを経験したので、政府が真剣に優先事項の一つとして環境を考えたいと言うことを本当に望んでいます。」

https://www.abc.net.au/news/2019-06-25/saving-koalas-from-extinction-with-people-power/11241370

オーストラリア在住翻訳ボランティア 国府田 愛
追補 JWCスタッフ
2019/05/07
アナグマのワクチン接種にもっと補助を!
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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イギリス政府が2018年における結核ワクチンを実施したアナグマの頭数を3月21日に公表した。ヨーロッパに分布するヨーロッパアナグマ(以下アナグマ)、641頭にワクチン接種し、そのうちの半分は政府援助のもとのワクチンプログラムによって実施された。
 イギリスでは、2010年からアナグマに結核ワクチンがライセンス化され、2014年からイギリスの牛結核危険地域とその危険地域周辺(バッファー地域)で政府とThe Wildlife Trustsのもとで実施されている。
 アナグマのワクチン化は、アナグマ同士の結核病伝染を減少させているという強固な科学的証拠がある。いくつかの研究結果が、ワクチン接種をしているアナグマは、いったん結核に感染しても、その進行、重症度そして感染伝播を軽減すると証明している。
 今回公表されたデータはからいくつかの進展が見られるとはいえ、2018年のアナグマ淘汰数は少なくとも32,602頭に上っている。しかしながら、それはとても小さい割合を意味する。
 アナグマへのワクチン接種は、アナグマ同士の結核感染を減少させると同時に、結果的に牛への結核感染の危険性を低下させ、淘汰といういわゆる虐待的な効果を及ぼさない点からも、大きな可能性を秘めている。
 2011年から2015年の間で、12のWildlife Trustsがアナグマのワクチンプログラムを実施した経緯がある。その間に1500頭以上のアナグマにワクチン接種を行った。2018年に最も大きなワクチンプログラムが実施されたDerbyshire Wildlife Trust では、素人のために ワクチントレーニングを提供し、Animal and Plant Health Agencyに配属されている人達が獣医師とともに実施した。
 The Wildlife Trusts としては、政府に対して、アナグマのワクチン接種推進派の牛農家及び土地所有者へのもっと資力(ワクチン)の投資を要求する。政府は、これまでの成果を見て、淘汰に代わる大規模なアナグマのワクチンプログラムを推進しなければならない。

イギリス在住翻訳ボランティア 折原美子
追補 JWCスタッフ
2019/04/02
世界で最も有名なサイを忘れない…Helping Rhinos
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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We celebrate and remember the most famous Rhino in the world. Helping Rhinos Sudan

去年3月18日に世界で最後のキタシロサイのオス”スーダン”が亡くなった。
彼の死は、一連の加齢による健康悪化による安楽死を強いられた結果であったが、45歳まで生きられるサイは多くはない。
スーダンは、最後のオスのサイとして、人間のこの上もない無慈悲と欲望が絡み合った環境の中で並外れた生活を過ごし、彼の伝説を築き上げたといえる。
彼は、私たちの中で普遍的に生きているだろう。

現在、スーダンに娘のNajin と孫娘のFatuが、最後の2頭のキタシロサイとしてこの世界で生存している。オスはもう存在しない。キタシロサイは、機能的に絶滅しているといえる。
しかしながら、科学者と環境保護者たちは諦めなていない。そして、私達は、キタシロサイの種の保存のために、彼らの研究努力と無限の楽観視に感謝している。何故なら、今、その希望が現実になり得るから。

新たな展開として、2018年7月にドブルクララブ動物園(チェコ)、ライプニッツ保護動物および野生動物研究所(ドイツ)そして、アバンティバイオテクノロジー社(イタリア)の共同研究によって、近縁種ミナミシロサイの卵子と凍結保存されていたキタシロサイの精子融合によって、生存可能な胚を作り上げた。
研究者たちは、現在、代理母として考えられる近縁種ミナミシロサイ雌に胚移植を検討中である。サイに関してはいまだかつて試みていない。

次の重要なステップは、2頭の生存しているキタシロサイ雌から卵子を収集することである。

最終的には、キタシロサイ雌からの卵子を使って体外受精を試み、種を存続させたい。微かな望みはある。
一方で、スーダンは私たちの記憶の中で生きている。この偉大な最後のキタシロサイの雄として生まれてきたスーダンの存在は、私達にできる限りの術をするように駆り立てる。言い換えれば、サイに関わらず他の絶滅危機に瀕している種のためにより安心できる世界を創り上げることが私たちに課せられている。
スーダンがいつしか誇りに思うことであろう伝説という言葉を。


イギリス在住翻訳ボランティア 折原美子
2019/01/15
ゾウと経済: 野生動物をどう正しく評価するか
東京にお住いのボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Elephants and economics: how to ensure we value wildlife properly --The Conversation--

経済の健全性は政府に期待される大きな課題のひとつである。
そして経済の健全性やその他すべてのことが、自然環境に依存しているのだが、自然環境のことは皆、長い間見て見ぬふりをしてきた。

ほとんどの国では、今なお国内総生産が経済の健全性を計る主な指標となっている。
しかし、国内総生産には環境破壊からくる損失が計上されていない。
人間の経済活動による環境破壊および、人間の自然環境への依存、自然環境を含めた世界全体を計測し管理することの必要性がますます認識されるようになってきている。

われわれは、この新たな考え方が、エジプトのシャルム エル シェイクで今週(2018年11月20日)始まる生物多様性に関する2週間の会議で国際的に前進することを望んでいる。
(参考記事:なぜ国家勘定に環境要因を組み入れる必要があるのか。https://theconversation.com/why-we-need-environmental-accounts-alongside-national-accounts-58636 )


環境を一国の勘定に組み入れることはより正しく情報を得る手段として提案されてきたことであり、いくつかの国が取り組んでいることである。

ボツワナでは象の生息数が環境の勘定に組み入れられており、野生動物保護がコストではなく、投資としてみなされている。
この例は環境に関する資産を経済データに組み入れることが、環境保護のための新たな政策的枠組みを手助けすることを示している。
しかし、世界的にみるとこのような国家勘定を(環境まで含めて)拡大することの政治的影響は限定的である。

目標に向かって

生物多様性に関する会議は愛知目標についても含んでいる。その目標2で、以下のように表明している。
「遅くとも2020年までに、生物多様性の価値が、国と地方の開発及び貧困削減のための戦略や計画プロセスに統合され、適切な場合には国家勘定や報告制度に組み込まれている。」

これは保護活動家と経済学者が、協力して働くことのきっかけを明快に与えている。今までのところ、生物多様性の経済的な評価は何もなされておらず、そして環境的価値と経済的価値をどのように国家勘定に統合するかという問いに対する、回答は見出されていない。

一方で、生物多様性に貨幣的な価値を置くことは自然の物質化と表現されている。
しかしわれわれは適切に貨幣的な評価をしなければ、経済的権力の前に環境は無力であると反論したい。もし愛知目標2が2020年までに達成されるのためには、我々は生物的多様性に関する共通の認識と、それを認識するための共通のアプローチが必要になることが明らかである。
(参考記事:生物多様性への投資は報いるhttps://theconversation.com/it-pays-to-invest-in-biodiversity-91880 )
環境が経済に貢献することを計算に入れることと同時に、生物多様性を維持し、促進するために必要な費用を測定することもとても重要である。
ボツワナの例に立ち戻ると、ゾウが土地と水を必要とすることを認識することを意味する。(ボツワナの野生動物は、全土の水の10%を消費しており、ゾウはそのもっとも大きな割合を占める)。2013年には観光関連の産業がおよそ20億ドル(2,200億円)を生み出すボツワナでは(ボツワナの鉱山についで2番目に大きな産業セクターである)、野生動物に土地と水を分配することは懸命な投資判断であるといえる。

この取り組みは別の土地活用をした場合の経済的トレードオフ(同時には成立しない二律背反の経済的関係)を明らかにしている。
たとえばビクトリア中央高地では原住民による木材切り出しをやめることが木材関連の収入を減少させる一方で、フクロモモモンガダマシを含む、希少生物の生息範囲を保護することになる。そしてそれは、農業などのほかの産業やメルボルンのような都市にすむ人々を利することとなる。
(参考記事:メルボルンの貯水池における伐採はやめるべき https://theconversation.com/logging-must-stop-in-melbournes-biggest-water-supply-catchment-106922 )

帳簿を日々アップデートする

その他の勘定体系同様、環境の経済的価値に関する評価が政府の政策決定の土台であり続けるために、理想としては毎年更新される必要がある。
それは生物種と生態系そのものに関する情報を継続的に収集することが必要となる。

残念ながら、長期的な国家レベルでの生物種もしくは生態系レベルでの生物多様性に関するモニタリングが行われている例はほとんどない。
そして、遠隔地からの測定技術は主要生態系(サバンナや温帯林、湿地)に関する俯瞰的な観察を可能にする一方で、実地調査に取って代わるものではない。

今月のエジプトにおける会議は生物的多様性が人間と経済に貢献することを再度確認する機会を各国に与えた。そして、さらに前進して、環境と経済のトレードオフを理解し、正しく評価することを助けるための、両社を統合した勘定が必要であることを合意する機会を与えた。

見て見ぬふりをしてきたものを認識したのは大きな前進だ。言うまでもなく健全な将来への投資もだ。

福田保彦
追補:JWCスタッフ
2018/11/22
結核の感染を拡大しかねない牛農家たち!
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Farmers who trade in risky cattle ’helping to spread TB  THE TIMES 

 ある科学的調査専門チームによると、貪欲な牛農家たちは、自分の牛たちが結核にすでに感染しているかもしれないという不安を隠しつつ、その牛たちを売買して、更に感染を広めているのではないかと指摘しています。
 イギリスでは、アナグマが牛結核の主感染源であるとされ、毎年多数のアナグマが淘汰されています。
 アナグマの淘汰は、結核感染牛の頭数減少に適度な効果そして実際の効果を表しているが、この結核を撲滅するために、農家はもっと努力が必要であり、危険地域での牛の移動は避けるべきとある報告書が発表されました。
 政府の結核撲滅戦略を評価するその独立審査チームの先導者であるCarles Godfray氏は、牛農家の多くはアナグマを責めているが、大半以上の感染は、アナグマというよりもむしろ牛同士間で引き起こされていると主張しています。
 牛結核はイギリス南西部と西部地方に集中していて、全体のうちの32地域では、4年間、アナグマの淘汰が実施されており、1地域あたり4年間での淘汰費用は1億円と推定されています。
 また、ペットや馬と同じく牛にもマイクロチップを導入することが、動物の追跡の改善と不法売買を防止する上で、不可欠であるとそのチームは主張しています。
 Carles Godfray氏は、アナグマの淘汰の賛成派と反対派との間でかけはなれた相違が存在しており、彼のチームの証拠を基にした解釈は、結核に感染したアナグマの存在は、牛の群れに脅威を与えているのは確かであり、もし淘汰をしない決定が下されるなら、そして、もし非致命的な介入が非効果的であれば、結核撲滅の進展に遅れが出るであろうし、完全な撲滅はより複雑になるであろう。しかしながら、アナグマの淘汰は結核の感染拡大にそれほど大きな影響を及ぼしてはいない。
 2016年に170万頭の牛が、結核危険地域内と危険地域間で移動されており、牛農家は感染の拡大に貢献していると言えるとともに、いくつかの証拠から、農家の中には、次の結核検査で陽性を疑われる牛を売買したり、耳標を健康牛と取り換えて何らかの操作をしていることがうかがえるとそのチームは指摘しています。
 結核高危険地域では、ヨーロッパで実施されている感度の高い結核検査を導入すべきであるとも公言しています。

 全国農家連合のStuart Roberts氏は、結核に取り組むために、我々は得られる全ての方法(例えば、結核検査、移動制限、農場設備、ワクチン等)を実行することが不可欠であるとともに、この報告書をもとに、私たちがこれから何をすべきかを検討していきたいと述べています。
 アナグマ保護団体のDominic Dyer氏は、Charles氏が、その残酷な、高コストの、そして非効率的な淘汰の廃止を主張しなかったものの、Charls氏は、アナグマのワクチン接種が淘汰に代わる有望なものと認識していると述べています。 

 政府は、その報告書を受けて、来年の夏までに更なる対策を公表することとなっています。農政務担当のGeorge Eustice氏は、私たちが牛結核撲滅に専心するものの、明言できることは、その撲滅には単独方法は存在しない、とその複雑さを訴えています。

補足;
イギリスでは、結核の高い危険地域とバッファー地域に限られて、アナグマの注射用BCGワクチンが2014年から4年間の期間で実施されているところです。バッファー地域とは高い危険地域と低い危険地域の境目の地域を言います。それと同時に、アナグマの淘汰も実施されています。しかしながら、2015年に世界的にBCGの不足があり、アナグマのワクチン接種は一時中止になった経緯があります。このワクチン接種の計画実施が軌道に乗れば(良い結果が得られれば)、淘汰に代わって、イギリス全体でアナグマにワクチン接種を実施していく事が期待されます。
また、経口用ワクチンが来年には許可されれば、注射よりももっと効率よく、低いコストでワクチン接種が出来るので、ワクチン接種の需要が更に高まって行く事がさらに期待されます。

イギリス在住翻訳ボランティア 折原美子
追補:折原美子、JWCスタッフ
2018/11/13
テーマパークへ輸出するために牢獄に繋がれたクジラたち
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Whales held in "jail" for export to theme parks. The TIMES

 中国のテーマパークに不法にクジラを売買することで多大な利益を得ようとするロシアの企業を非難する中、100頭以上のクジラが、ロシア太平洋海岸沿いで小さな囲いに詰め込まれて飼われています。

 環境保護の運動家たちは、11頭のシャチ と90頭のベルーガが、ナホトカ海岸沿いの”クジラの牢獄”と言われるほどの狭いスペースの中で飼われ、そのうちの何頭かのクジラは、7月から今もなおその囲いの中で飼われていると述べています。

 You Tubeのビデオでは、クレーンで持ち上げあられたクジラが大きな容器に入れられるところが映し出され、運動家たちは、クジラはこれから中国に送られるところであると述べていました。また、クジラのサイズと年齢によりますが、1頭のクジラは約1億5000万円で売買されるそうです。

 ロシアの環境保護の関係者たちは、そのクジラたちが非合法的に捕獲されたか否かを調査中であり、クジラの状況を追求把握している所であると言っています。1982年に商業捕鯨モラトリアムが採決され、教育と学術研究目的のみ、クジラの捕鯨が可能であるとされています。

 しかしながら、この7月にロシアの企業は、教育目的という理由で捕鯨の許可を得たものの、7頭のシャチは不法に売買されたと報告されています。 
 グリーンピースは、少なくとも15頭のクジラが、2012年から2016年の期間に、中国の海洋水族館に売買され、企業の中には、貸出しという名目でそのモラトリアムをすり抜けて売買していると主張しています。

 グリーンピースに協力していますロシアの調査担当のOganes Targulyan氏は、この速さで続くと、全てのシャチを失う危険が大きいと訴えています。
 現在、年間のシャチの割り当て捕鯨頭数は13頭までとなっています。しかし、彼曰く、1頭のシャチを捕獲するのに、少なくとも1頭以上のシャチが犠牲になっているという現状に、誰も深刻に受け止めていないのが実情であり、彼はプーチン大統領にこの問題を取り上げてもらうように懇願しました。
 カムチャッカ半島領域に生息するシャチは、去年絶滅危惧種に指定されました。しかしながら、ロシアにおけるクジラの不法売買に関しての法改正の効果は未だに明らかにされていません。

 子供のクジラの捕獲は全面禁止にもかかわらず、ナホトカ近くで保管されているクジラの多くは、若い子供のクジラたちであると思われます。

 シャチは別名Killer Whaleとして知られ、家族単位で群れをなして生活しており、幅広い意味合いを表現する複合音を通してお互いのコミュニケーションを図っていると言われます。

 国際自然保護連合のGrigory Tsidulko氏は、シャチを囲いの中で保管することは拷問に等しいと訴えています。彼はまたシャチの寿命は、自然界においては50〜80歳であるのに、海洋水族館では5、6年と非常に短命であると述べています。
 中国では、この2年間の間に、およそ36箇所の新しい海洋水族館がオープンされる予定で、クジラの需要、特にシャチにおける需要の増大が必須となることが伺えます。

商業捕鯨モラトリアム:国際捕鯨委員会で捕鯨国が商業捕鯨を一時的に停止すること。1982年に採択。
 
イギリス在住翻訳ボランティア 折原 美子
2018/11/02
世界の野生生物の60%の消失は人間にあり
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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"Humans to blame as 60% of world’s wildlife is lost” 30th Oct. 2018 The Times

 1970年以降およそ60%の野生生物の減少が地球規模でみられ、その最大の原因は、彼らの生息地域の消失に他ならないと言われています。
  WWFとロンドン動物協会によって作成されたLiving Planet Report 2018の報告書によると、野生生物を保護するには、パリでの地球温暖化に関する合意に匹敵するぐらいの全世界的な政策が必要であると訴えています。
 詳細には、哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類そして両生類のあわせて4000種、16,700頭羽を調査した結果、1970年から2014年の期間でおよそ60%の減少が認められました。いくつかの種で際立った減少傾向にあり、例えば、タンザニアのゾウは2009年から60%の減少、ガーナの灰色インコは1992年から98%減少、そして、ボルネオのオランウータンはこの過去16年で半分に減少しています。

 その野生生物の減少の原因の多くは、人類の消費の激増に帰するところで、パーム油や大豆のプランテーションそしてダム建設、鉱物発掘、道路の建設による広大な生息地の消失と言われています。
 乱獲と外来種の導入が、その次の大きな要因となっています。公害と地球温暖化は高まりつつある脅威にすぎなかったと言われています。
 世界の土地面積の25%だけが、人間活動の影響を受けていない状況の中で、2050年の予測によると、10%にすぎないであろうと報告されています。

 WWFのMike Barrett氏は各国のトップが、地球温暖化の話し合いの様に、生物多様性条約にも同じ注意を払うべきであり、そして、2020年に北京で開催される野生生物を保護する会議に、彼ら達が出席するように促しています。
 また、その報告書によると熱帯地域では最大な減少傾向にあり、ラテンアメリカでは1970年からジャガーやオオアリクイを含む89%の頭数の減少が報告されています。ヨーロッパやアジアでは、およそ31%の減少でありますが、Barrette氏によると1970年以前の開発によって野生生物は既に荒廃された状況であったからであると説明しています。
 Barrette氏は、イギリスが野生生物の保護に世界的にリーダーシップを取るべきであるが、まずは自国の野生動物保護に専念しなければばらないであろうと公言しています。

 イギリスでは、断片化された都市開発により、市街地に住むハリネズミ頭数が2002年から2014年の間で75%減少、また、農業の集約化により、ヨーロッパヤマウズラは1970年から2004年で85%減少という状況にあります。

 WWFのTanya Steele氏は、オランウータンがいて、パッフィン(つのめどり)がいて、誰もがきれいな空気と食べ物があるような世界を望むのなら、今すぐにでも行動する事が必要と訴えています。


 生物多様性条約:1992年にブラジルでの地球サミットで採択され、生態系のバランスを平衡に維持していくために、自然界のあらゆる動植物を保護していかなければならないという条約。


イギリス在住翻訳ボランティア 折原美子
2018/10/16
パーム油:オランウータンを保護する努力は失敗に…(インドネシア)
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Palm oil;pledges to protect orang-utans have failedーthe industry needs to act
(パーム油;オランウータンを保護する努力は失敗に…その産業界は実践が必要)

 インドネシアに属するボルネオ島の明け方、あるパーム油生産農場の労働者達が、ビーンと呼ばれる20歳のオランウータンの死体を人工水路から引っ張り出していました。後に、労働者たちが近くの国立公園の調査職員を呼び入れた時に、マイクロチップから、ビーンは住んでいた森林からおいやられ、パーム油農場で銃で撃たれそして繰り返しナイフで刺されていたことが判明しました。

 インドネシアではオランウータンを保護する試みが進められています。しかしながら、2018年のある生物学雑誌の調査によると、1999年から2015年の期間で10万頭のボルネオ産のオランウータンは消滅し、その頭数は全頭数の半分以上にのぼります。
 生息地の消失(例えば、伐採による森林破壊やパーム油などのプランテーションなど)は、最も重大な減少要因となっています。
 行き場のないオランウータンたちは、新しい住処を探して、農場主によって殺される危険を冒してもパーム油生産農場へと侵入していくのかもしれません。農場は、いかなる時も自分たちを正当化し、一方、オランウータンはいつもその犠牲になっているということです。農場主は、すべての野生動物を保護しようと努力していると公言するにもかかわらず、ビーンの死が起きてしまったことにどう言い訳をするのでしょうか?

 この伐採と密漁の結果として、世界自然保護連合は、193種の生き物がパーム油による脅威に晒されており、オランウータンは、その中でも、かなり深刻な被害を被っていると警告しています。

 パーム油の需要は年々増している状況の中で、ある運動家たちは、森林破壊の産物であるパーム油の生産を止めるように世界的に有名な会社に抗議しています。現在、447会社がその供給チェーンでの森林破壊を止めることを公的にコメントしました。ネスレ、ユニリーバ、パルモリーブ、ペプシそしてP&Gは2020年の最終期限までに森林破壊を止めることに同意しています。

 しかしながら、NGOによると彼らたちの努力も全く意味をなしていないということです。また、2018年のグリーンピースの報告によると、家庭用衛生製品で有名なブランドのどの会社も、パーム油の生産供給元が森林破壊に関与していないかどうかを把握することができなかったということです。

 グリーンピースの森林保全担当のRichard George氏は、パーム油の大部分はどのパーム油精製工場由来か、ブランド会社は突き留めることができると言っていますが、問題なのは、その前段階にあるパーム油生産供給者がその生産過程で森林破壊に関与しているかは分からないとのことです。

 過去にインドネシアで、NGOと自然保護団体によって、大型パーム油生産元が森林破壊に関与しているということで摘発されました。今年になって、Wilmarという世界的に有名な大型パーム油貿易業者が、森林破壊の終結を確約して5年経た現在、パリ市内の2倍の広さに当たる森林破壊に関与していたことがわかりました。この産業界を改革するために、グリーンピースをはじめとする運動家たちが、大手のブランド会社に対して、供給チェーンの見直しを訴えています。

 Richard George氏は、パーム油の出所がわからない限り森林破壊は続いて行くことであろう。そして、ブランド会社は一貫した方法で、パーム油生産の責任を取ることを今始めなければならない、NGOからの警告を待ってから行動するのではなく。と述べています。

 世界に僅かに残されたオランウータンの運命は、天秤にかけられている状況にあり、またビーンのような結末が繰り返されるであろう。

イギリス在住翻訳ボランティア 折原美子
追補 JWCスタッフ
2018/10/02
南アフリカの孤児ライオン農場は偽物!
イギリス在住のボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Tourists to South Africa warned "orphan lion cub farms are a scam driving big cats to extinction. INDEPENDENT U.K.
(南アフリカへの旅行者に警告”孤児ライオン農場は絶滅を助長する偽農場 英国インディペンデント紙)

 南アフリカの孤児ライオン農場では、旅行者達はライオンとセルフィーを撮ったり、ミルクをあげたり、散歩したりと楽しんでいますが、その裏には、旅行者達は騙されて、儲けのあるトロフィーハンティングやライオンの骨の売買を支持しているにすぎないと言われています。
 旅行者達は、その偽の孤児ライオンアトラクションと関わらないように警告されています。

 ある動物愛護団体は、”旅行者達が訪れる南アフリカの孤児ライオン農場は、アジアへの骨の売買やトロフィーハンティングからの収益によって、ただライオン達を飼育しているにすぎない。”と訴えています。

 また、ある専門家は、これらの農場は、絶滅危惧種を保護して助けるどころか、彼らは小さな檻に入れられ、その頭数は減少傾向にあると言っています。

 実際、南アフリカのライオンは旅行者達との写真スナップのために使われるために、檻の中で生活し、そして、もはや子供ライオンに愛らしさがなくなり、旅行者と一緒に散歩することも危なくなってくると、最後には、トロフィーハンティングとして売られ、あるいは、殺処分して、彼らの骨を偽の薬として売り、南西アジアへと渡って行くとのことです。

 ライオン農場に潜入した調査隊達は、子供のライオンは孤児ではなく、商業的目的で生後1日あるいは生後間もなくの赤ちゃんライオンを、母親から引き離しているにすぎなく、母親ライオンはまた強制的に檻の中で繁殖を続けさせられている状況を観察してきました。

 ヒューメイン ソサイエティ インターナショナルは、檻の中の動物は、しばしば食事、衛生的に恵まれず、または自然な行動能力をも奪われる傾向にあると主張しています。
 ”子供のライオンは決して野生に戻されないし、野生に戻っても生き残れないであろう。”
 ”また、全く無知な旅行者達やボランティアの人たちは、多額のお金を落とし、野生保護に協力していると信じ、まさか動物を虐待する産業へと、そして、ライオンの絶滅への架け橋になっているとは想像にも及ばないであろう。”

 南アフリカには、野生ライオンは3千頭にも満たなく、監護のもとでおよそ8千頭のライオンが約260箇所のライオン農場で飼育されています。
 去年は、1千600百万人の旅行者が訪れ、その数は増加傾向にあり、皮肉にも、ライオン農場の人気とその陰にあるトロフィーハンティングに拍車をかけるようです。

イギリス在住翻訳ボランティア 折原美子
追補 JWCスタッフ



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