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動物・環境ニュース

2023/06/02
【外来生物と特定外来生物】
 日本には、人の手により国外から持ち込まれた『外来生物』が多く存在します。そのほとんどが、ペットとして飼われていた個体が野生化し、繁殖したものです。昨今では、この外来生物に対する注目が高まると同時に、『特定外来生物』への関心も強くなっているようです。
 では、よく聞く外来生物と特定外来生物の違いとは一体、何なのでしょうか。
 外来生物、特定外来生物、どちらも共通していえることは、『もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物』であるということです。それに加えて、特定外来生物には二つの大きな特徴があります。一つ目は、明治元年以降に人為的に持ち込まれた生物であるという点。そして二つ目は、生態系や人の生命・身体・農林水産業等に被害を与えるという点です。そのため、飼育や栽培、保管、運搬、輸入などが原則禁止されており、違反すると、処罰され、場合によっては、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を課せられることもあります。
 そんな特定外来生物(条件付特定外来生物)にこの6月から新たに『アカミミガメ』と『アメリカザリガニ』が追加されることになりました。
 アカミミガメは、通称『ミドリガメ』とも呼ばれ、ペットとして飼っている方も多いです。お祭りの『亀すくい』で使用されることが多いことから、非常に手に入れやすいのですが、好奇心旺盛で人に良くなつく反面、他のカメに比べて少し気性が荒い部分があるため、飼いきれずに川に放ち、野生化したものが全国各地に分布したものと思われます。そして、食性が多岐にわたるので、在来生物に大きな影響をもたらすことが懸念されています。
 一方でアメリカザリガニは、捕食によって一部の水生生物の絶滅にも大きく関与する可能性があると言われています。また、ザリガニペストや白斑病などを保菌し、ニホンザリガニを含む在来甲殻類に大きな影響を与える可能性も考えられています。
 これらのことから、この2種は特定外来生物に追加されることとなりましたが、どちらも飼育者が非常に多く、単に特定外来生物に指定してしまうと手続きが面倒で野外に放つ人が増えてしまう恐れがあるので、特別に『業として行う場合を除いた飼養は許可がいらない』などの一部の規制を適用除外とする『条件付特定外来生物』に指定されることとなりました。
 環境省は、『一度飼い始めたペットは最期まで責任をもって飼い続けてほしい』と強く呼びかけています。併せて、相談ダイヤルを設けて飼育が困難となった方の相談にも応じているようです。
『外来生物』『特定外来生物』たちはもとはといえば、人間の勝手で持ち込まれてきて、飼えなくなって外に放たれてしまった被害者でもあります。
 彼らが適切な場所で少しでも幸せに過ごせるように、当団体でもいつかは『外来生物園』のような場所を作れたらと考えています。それと同時に、日本の美しい自然や多種多様な生態系、私達の安全な生活を守るためにも『ペットは最後まで責任をもって飼う』ということを、私達も広く呼びかけていきたいと思います。



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