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動物・環境ニュース

2019/01/15
ゾウと経済: 野生動物をどう正しく評価するか
東京にお住いのボランティアさんよりニュースが届きましたのでご紹介します。
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Elephants and economics: how to ensure we value wildlife properly --The Conversation--

経済の健全性は政府に期待される大きな課題のひとつである。
そして経済の健全性やその他すべてのことが、自然環境に依存しているのだが、自然環境のことは皆、長い間見て見ぬふりをしてきた。

ほとんどの国では、今なお国内総生産が経済の健全性を計る主な指標となっている。
しかし、国内総生産には環境破壊からくる損失が計上されていない。
人間の経済活動による環境破壊および、人間の自然環境への依存、自然環境を含めた世界全体を計測し管理することの必要性がますます認識されるようになってきている。

われわれは、この新たな考え方が、エジプトのシャルム エル シェイクで今週(2018年11月20日)始まる生物多様性に関する2週間の会議で国際的に前進することを望んでいる。
(参考記事:なぜ国家勘定に環境要因を組み入れる必要があるのか。https://theconversation.com/why-we-need-environmental-accounts-alongside-national-accounts-58636 )


環境を一国の勘定に組み入れることはより正しく情報を得る手段として提案されてきたことであり、いくつかの国が取り組んでいることである。

ボツワナでは象の生息数が環境の勘定に組み入れられており、野生動物保護がコストではなく、投資としてみなされている。
この例は環境に関する資産を経済データに組み入れることが、環境保護のための新たな政策的枠組みを手助けすることを示している。
しかし、世界的にみるとこのような国家勘定を(環境まで含めて)拡大することの政治的影響は限定的である。

目標に向かって

生物多様性に関する会議は愛知目標についても含んでいる。その目標2で、以下のように表明している。
「遅くとも2020年までに、生物多様性の価値が、国と地方の開発及び貧困削減のための戦略や計画プロセスに統合され、適切な場合には国家勘定や報告制度に組み込まれている。」

これは保護活動家と経済学者が、協力して働くことのきっかけを明快に与えている。今までのところ、生物多様性の経済的な評価は何もなされておらず、そして環境的価値と経済的価値をどのように国家勘定に統合するかという問いに対する、回答は見出されていない。

一方で、生物多様性に貨幣的な価値を置くことは自然の物質化と表現されている。
しかしわれわれは適切に貨幣的な評価をしなければ、経済的権力の前に環境は無力であると反論したい。もし愛知目標2が2020年までに達成されるのためには、我々は生物的多様性に関する共通の認識と、それを認識するための共通のアプローチが必要になることが明らかである。
(参考記事:生物多様性への投資は報いるhttps://theconversation.com/it-pays-to-invest-in-biodiversity-91880 )
環境が経済に貢献することを計算に入れることと同時に、生物多様性を維持し、促進するために必要な費用を測定することもとても重要である。
ボツワナの例に立ち戻ると、ゾウが土地と水を必要とすることを認識することを意味する。(ボツワナの野生動物は、全土の水の10%を消費しており、ゾウはそのもっとも大きな割合を占める)。2013年には観光関連の産業がおよそ20億ドル(2,200億円)を生み出すボツワナでは(ボツワナの鉱山についで2番目に大きな産業セクターである)、野生動物に土地と水を分配することは懸命な投資判断であるといえる。

この取り組みは別の土地活用をした場合の経済的トレードオフ(同時には成立しない二律背反の経済的関係)を明らかにしている。
たとえばビクトリア中央高地では原住民による木材切り出しをやめることが木材関連の収入を減少させる一方で、フクロモモモンガダマシを含む、希少生物の生息範囲を保護することになる。そしてそれは、農業などのほかの産業やメルボルンのような都市にすむ人々を利することとなる。
(参考記事:メルボルンの貯水池における伐採はやめるべき https://theconversation.com/logging-must-stop-in-melbournes-biggest-water-supply-catchment-106922 )

帳簿を日々アップデートする

その他の勘定体系同様、環境の経済的価値に関する評価が政府の政策決定の土台であり続けるために、理想としては毎年更新される必要がある。
それは生物種と生態系そのものに関する情報を継続的に収集することが必要となる。

残念ながら、長期的な国家レベルでの生物種もしくは生態系レベルでの生物多様性に関するモニタリングが行われている例はほとんどない。
そして、遠隔地からの測定技術は主要生態系(サバンナや温帯林、湿地)に関する俯瞰的な観察を可能にする一方で、実地調査に取って代わるものではない。

今月のエジプトにおける会議は生物的多様性が人間と経済に貢献することを再度確認する機会を各国に与えた。そして、さらに前進して、環境と経済のトレードオフを理解し、正しく評価することを助けるための、両社を統合した勘定が必要であることを合意する機会を与えた。

見て見ぬふりをしてきたものを認識したのは大きな前進だ。言うまでもなく健全な将来への投資もだ。

福田保彦
追補:JWCスタッフ



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