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動物・環境ニュース

2017/06/29
熱帯雨林で大きな動物がいなくなると 大きな問題となる理由
最近の研究で、熱帯雨林における大きな動物の減少が、その動物を含む微妙な相互作用と森林植物の進化戦略のために、生態系全体の生物多様性を喪失させてしまう事があらためて明らかになりました。

動物が森林において重要な役割を担っている事はいままでも分かっていました。熱帯雨林など生物が多様に存在する生態系では、鳥や哺乳類
(特に大きなもの)は様々な植物の種を運び広く分配します。これらの種が発芽し、成長すると生態系の輪が完成され、生物の多様性は保たれていくのです。

ところが、人間が狩りや、森林を開発する事によって大きな動物達が減少し、それとともに植物の種類も激減し、生物の多様性が失われていきましたが、これまでは、それが何故おきるのか明確にはわかっていませんでした。
そこで、この疑問を解決するため、スペインとドイツの研究者がチームとなり、さまざまな変数が森林の生物多様性に及ぼす影響を実証するための数学的モデルを開発しました。

スペインのオビエド大学(University of Oviedo) の生態学者Donoso氏のチームはフルーツを食べる鳥に着目し、5月31日に Proceedings of the Royal Society B という雑誌に、鳥類と種子の大きさの関係から、なぜ大型動物が健康な生態系を維持する上で大きな役割を果たすのかを説明する研究を発表しました。
一体なぜ大型の果食動物が重要だと考えられたのでしょうか?
アンデスの雲が発生する位置にある森林からアマゾンの低地にまで及ぶ、ペルーのマヌー生物圏保護区のDonoso氏の共著者によって収集されたフィールドデータによって、科学者はさまざまな変数を簡単に調整する事ができました。
「このデータを現場から得るのは本当に難しいです」とDonoso氏は説明します。
「鳥と種子との間の最初の相互作用を見るのは簡単ですが、人口統計的な影響は見えません。」
「どの鳥がどの果物を食べるか見ることができますが、どれくらい食べているのか、糞便がどこにあるのか、果物の種子がどれくらい生き残ったのかは分かりません。」と彼女は付け加えます。
このモデルでは、摂取されてから地面に戻って発芽するまで、仮想種子を追うことができます。種子の大きさによって、それが取られた場所とどの動物によって運ばれたかが決定されます。
森林生態系では、通常小さな種子は小さい鳥と大きい鳥の両方に食べられるため、森林の他の場所に分配される機会をより多く有します。しかし、植物がより大きな種子をつける場合、それらを食べる生物は一気に少なくなります。
この「サイズ・マッチング」によって見えてくるものがあります。
大型動物は大きな種子の優れた種子散布役となり、より多くの
種子を遠方にまで運び、植物に発芽させる事ができるのです。
大きな種子は育つのに大きなエネルギーを要するため、あまりたくさんは実りません。
しかし、これは、種子が「あまり多くはないが、より貴重である」と言っているかのように鳥を一層惹きつける方法にもなってます」とDonoso氏は説明します。
進化論的に言えば、このように量産と質の違いによって惹きつける方法はやや賭けでもあります。それは人間が森林環境に及ぼす影響を考慮していないからです。
「大きな鳥や大きな哺乳動物は、狩猟や森林破壊など、人間の影響を大きく受けやすいものなのです」とDonoso氏は言います。

これによって分かる大きな動物の本当の役割の重要性は、今後、熱帯雨林を保護していく運動の手助けとなるでしょう、とDonoso氏は述べます。

「特に熱帯地方の生態系機能の崩壊を回避し止めるためには、大きな動物種を対象とする保全対策が緊急に必要です」と加えています。
熱帯雨林の豊かな多様性が過去のものとなってしまわないよう、私たちもますます情報発信していきたいと思います。



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