チータープロジェクト

チーターの現状について

 世界一の俊足で知られるチーターは、かつて、その祖先は、地球上の4大陸に100万頭は生息していたと言われています。近年では1900年代には10万頭いたものが、2000年には1万頭を切り、2006年現在はアフリカ大陸とアジア(イランに孤立した50頭以下の個体を残すのみ)あわせて5000〜7000頭と推定されています。更に現場の専門家達の中には、悲観的に見れば3000頭近くまで減少しているはずとの見方もあります。チーターのメス
 減少の原因は、生息地の減少、道路や鉄道などによる生息地の分断、被食動物の減少、他肉食動物との競争の激化があげられます。チーター成体は基本的には雌雄とも群れをつくらず主に単独で行動し、なわばり内で狩りをします。このため、生息地の確保はチーターの生存にとって最重要課題だといえます。

チーターの子供
 また個体群は広範囲に低密度で散在するために、自然界でのチーターの繁殖は、近親個体間で行われる確率が非常に高くなっています。遺伝子の均一化による種の弱体化が、加速度的に進み、種存続に関してはかなり危機的状況に陥っているのです。

 現在、チーターは5タイプの亜種に分類され、中でも絶滅傾向の強い東アフリカンチーターの保護・繁殖活動は急務であると言えます。
 ケニア全体でも野生個体数は既に40頭前後と推測され、これらが全国の数箇所の国立公園に数等から10頭前後の個体群で散らばって生息しているのみです。こうしたチーターの数を回復させるための努力(しかも多様性のある遺伝子どうしを繁殖させていくという)は、まだ個体数が残っている、まさに『今』始めるべきです。その努力を怠れば、我々人類は近い将来『チーター絶滅』という、とりかえしのつかない絶望的な結果を招いてしまうことになるでしょう。

チータープロジェクはステップ1からステップ2へ

 JWCでは、2004年よりケニアでの東アフリカンチーターの繁殖プログラムを進めてきました。プロジェクト発足当時は、ケニア政府及び地元の有力者デラメア卿の全面協力により、KWS(ケニアワイルドライフサービス)が、傷ついたチーターや孤児になったチーターを保護し、それを我々が作った施設で飼育し、リハビリをかけながら人工飼育下で繁殖させて、増やした個体をハンティングトレーニングして、再び自然に返すというプログラムでした。
 しかし、今年はじめよりケニア政府の野生動物保護政策に大幅な変更が生じ、それに伴って我々のプロジェクトも大幅な見直しが必要となってしまいました。
JWCによる調査
 そこで、以前までホームページで紹介していたチータープロジェクトを「ステップ1」と捉え、今回新たに展開するチータープロジェクトを「ステップ2」と位置づけて、新たな展開で再スタートを切ることに致しました。
 人間の事情、政治的な事情とは何の関係もなく、チーター絶滅の足音は、ヒタヒタと押し寄せて来ています。なんとか少しでも絶滅の危機からチーターを救えるように、我々はできうる限りの知恵を絞って、変化する状況に対応していこうと思っています。
 チータープロジェクトステップ1に参加、ご協力をいただいてた皆様には、この旨を既にご報告し、ステップ2への引き続きの変わらぬご協力をいただいています。今後も、一人でも多くの方々に、新たに本プロジェクトへのご賛同、ご参加、ご協力をいただければ幸せです。

チータープロジェクトステップ2概要

 チータープロジェクトステップ2では、拠点をマサイマラ・ナショナルリザーブ周辺に移しました。現地マサイ族が管理運営している「コイヤキ-レメック ワイルドライフトラスト」は、広さ約1400平方キロメートルもあり、マサイマラ・ナショナルリザーブとほぼ同等の敷地面積があります。ナショナルリザーブとは違い、このトラスト内では、マサイ族は自由に生活できます。
 今回JWCは、「コイヤキ-レメック ワイルドライフトラスト」の全面委任を受けて、マサイ族と共にこの保護エリアでのチーターをはじめとする野生動物保護活動と野生動物の生態調査を始めていくことになりました。
JWCキャンプ前
 我々は、現地マサイ族のワーデン(公園管理長)たちと、このチータープロジェクトステップ2を「マサイマラ・チータープロジェクト」と命名しました。プロジェクトの主な柱は以下のようになります。


1: チーターを生物指標とし、チーターの生態調査を主軸に置くことで、健全なサバンナが維持されているのかのチェックをしていく


 チーターは生態ピラミッドの上位に位置する肉食動物ですが、決して頂点に君臨している猛獣ではありません。上位のライオン・ヒョウ・ハイエナなどに常に命を狙われている存在なのです。そうした生態ピラミッド上位の猛獣が異常に増えることは、チーター減少に拍車をかけることになります。一方、餌となる草食獣が増えすぎることはチーターの減少を裏付けることにも繋がりますし、そうした生態ピラミッド下位の動物の減少は、チーターなどの肉食動物そのものの存在に警鐘を鳴らすことになります。
 チーターを中心にして観察していくことで、サバンナの健全な生態系のバランスをチェックしていくことができるのです。

2: 行動調査

 チーターの行動範囲のチェック活動。我々は俊足が武器のチーターの能力を削いでしまうような、発信機の装着は絶対にしません。常にターゲットとしたチーターと行動を共にすることで、その行動をそのつどGPSでマッピングしていき、年間を通してのチーターの行動状況を把握していくのです。
JWCによるGPSマッピング
 GPSに打ち込んだデータは、同一のマップ上に記録され、膨大なチーターの行動が、手に取るようにわかるシステムになっています。

3: 糞尿検査によるホルモン測定

 チーターが排泄する糞尿に含まれる各種ホルモンを測定していくことで、その個体が現在どういう状況にあるのか(繁殖可能な状態にあるかとか、ストレス状況下にあるとか)が判断できるようになります。チーターの季節的なホルモンの状況、あるいは場所や環境の変化がチーターにどのような影響を与えているのか、などといったデータを、客観的な数値からも突き止めていきます。

4: 自然状態でのチーターの保護
JWCによるリサーチ
 チーターの赤ちゃんが成獣になれる確率は10%前後と非常に低く、通常6頭前後産まれても、親離れして自立できるまでに成長する個体は1頭に満たないと言われています。そこで自立するまでの間、ライオン、ヒョウ、ハイエナなどの猛獣はもちろん、赤ちゃんチーターをわざと踏み殺す傾向のある、バッファローやヌーの大群などから、赤ちゃんチーターをガードしていきます。チーターの生態観察を行うリサーチカーは、常にチーターとは一定の距離をおきながら、常に行動を共にします。

5: マサイマラ一帯の野生動物の生態調査及び植物の植生調査
 チーターのリサーチ活動に付随して、マサイマラ全般の生態系の調査をおこなっていきます。

6: コイヤキ・レメックの野生動物レンジャーの活動を支援
 物質、金銭的なサポートを中心に、マサイ族のレンジャーたちに提供し、野生動物保護活動に役立ててもらいます。彼らのワーデンからは、現在以下の品目について寄贈の要望が届いています。
  • 高感度双眼鏡
  • サーチライト
  • ナイトスコープ
  • 車両
  • トランシーバー
  • 寝袋

チータープロジェクトスタッフ報告

ケニア・チータープロジェクト報告 - 藤原尚太郎
南アフリカでのチーター研修 - 福田ひな
ナミビアでのチーター研修 - 飯吉茜

チーター基礎情報

チーターの兄弟 チーターとは
[英名] Cheetah
[学名]
Acinonyx jubatus
[大きさ]
頭胴長 112〜150cm
尾長 60〜80cm
肩高 70〜90cm
体重 35〜72kg
IUCNレッドリスト:VU(危急種 絶滅危惧II類)指定
CITESワシントン条約:付属書I表掲載
(生体およびトロフィーハンティング標本の毎年の輸出相当個体数は以下の国において次のように与えられる。 これらの標本取引は第三条規定の適応を受ける。ナミビア150、ジンバブエ50、ボツワナ5)
[国別保護状況]
狩猟禁止が法律により定められている国
アンゴラ、ベニン、ボツワナ、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、エチオピア、ガーナ、ケニア、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビーク、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、南アフリカ、スーダン、タンザニア、トーゴ、ウガンダ、ザイール
狩猟が禁止されていない国:ナミビア、ザンビア、ジンバブエ
不明: チャド、スーダン ジステンパーワクチンプロジェクトマサイ日本語学校奨学金プロジェクト
ウミガメ産卵調査チータープロジェクト
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