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チータープロジェクトスタッフ報告
ケニア・チータープロジェクト報告 - 藤原尚太郎
チータープロジェクトへ参加
私は、普段は佐草(以下代表)が経営するのづた動物病院に保護されるタヌキやキツネ、ハクビシン、水鳥、野鳥などの日本の野生動物の保護の様子を記録するカメラマンとして、JWCのスタッフとして活動に参加させてもらっています。そんな中、8月のある日、代表からの電話で、1週間後にアフリカのケニアにあるJWCキャンプでの活動の「チータープロジェクト」に参加してほしいとの連絡がありました。チータープロジェクトをテレビ東京が取材したいということがあり、人手が必要だったためです。参加を了承し、代表とともに、アフリカ・ケニアに出発しました。
チータープロジェクトとは
JWCのチータープロジェクトの内容としては、1か月ほど前に代表が調査した「ラブ4」というチーターの母子を中心に、「クルーザー」と「スプリンター」という若い2頭のチーターの活動範囲と、1日中ラブ4に一定の距離をおいて張り付くことで、ヌーの群れやハイエナ、ライオンから子どもを守るというものです。特にこの時期にリサーチに力を入れるのは、ヌーがマサイマラに大量に移動してくるため、チーターの子どもが踏み潰される危険もあるからです。 それと同時に、チーターの顔や尾、体の模様などを撮影し、個体識別データーベースを作り、GPSを活用しながら、それぞれのチーターの活動範囲を記録していくことです。 さらには、チーターの糞や尿を採集し、そこからホルモンの状況を分析するというものです。ホルモンが分析できれば、メスの発情の様子などが分かってくるためです。ホルモン調査は、まだこれからの研究が必要なため、今後のためにも尿や糞のサンプル採集が必要となります。
JWCの保護活動のスタンス
JWCがオフィスを構えるのが、マサイマラのコイアキ地区とレメック地区をまとめたコイアキ・レメックと呼ばれる地域内で、そこを管理しているマサイ族から建物と場所を提供してもらっています。この地区は、マサイマラにあるほかの保護区とは違い、パークとしては管理されていません。レンジャーはいるものの、密猟を防ぐためのパトロールも車両がないため、歩いて行っています。 ほかのパークではマサイ族をすべてパーク内から追い出し、完全に野生動物の王国を作りあげましたが、実際には、マサイ族そのものもケニアの野生の王国を作るためのサイクルには欠かせない存在なのです。 コイアキ・レメックでは多くのマサイ族が生活していて、牛やヤギを放牧しながら牛、ヤギを売って生計を立てています。 マサイ族が野生動物を守っているわけではありませんが、放牧を行うマサイ族は、集落の周辺の草が少なくなると、野焼きを行いながら、別の地へ移動します。野焼きされた場所では、新しく栄養価の高い芽が出て、それを草食獣が食べうまく繁殖し、またその草食獣を肉食獣が食べ、すべてのバランスが保たれているのです。 我々は、そんな自然のサイクルをそのまま生かし、本当の意味での「共存」の助けになればと考えています。チータープロジェクトもその一環で、マサイ族の理解を得ながら、保護活動を続けているのです。
私個人の今回の役割
私のチータープロジェクトの中での役割としては、基本的にはチーターの行動範囲や個体識別用の写真撮影。それに伴ったデーターベース作りです。このデーターベースは、簡単に作れるものではないので、毎日サファリに調査に出かけるわけではありません。調査班とデータベース化する班に分かれて作業を進めることもあります。代表やほかの現地スタッフは引き続きチーターのリサーチを進めます。データベース化作業をする日、私は一人でオフィスに残り、マサイ族スタッフと1日を過ごします。言葉の壁があり、最初は不安でしたが、英語を話せるスタッフもおり、みんなで仲良く作業を進めます。JWCのスタッフになると、毎日、このような調査と作業を繰り返します。 今回に限っては、JWCのキャンプも設営しているため、データベースを作りながら、同時にJWCキャンプ周辺の調査も行います。キャンプ周辺の調査は、コイアキ・レメックならではで、車両を使ってのものではなく、自分たちの足でウォーキングしながらのサファリです。勇敢なマサイ族のスタッフに囲まれて、背筋にゾクゾクするものを感じながら、サバンナを歩いて回ります。背筋がゾクゾクするというのは、その周辺にもライオンやヒョウ、ハイエナなどが普通にいるからです。普通のパークでは、車両から降りることは禁止されているため、このような経験ができるのも、コイアキ・レメックだからなのです。残念ながら、現在はコイアキ・レメックにはチーターは不在です。本来ならば、この地区にもチーターはいるはずなのですが、現地スタッフの長期間の追跡調査によって不在なのが判明しています。
私個人の感想
今回のリサーチ活動の感想は、我々の到着時には、ラブ4母子はかなり腹を空かしている状況だったのですが、その後、母親が獲物を仕留め、みな空腹が満たされたのを見て、心の底から安心したこと。サバンナでのウォーキング・サファリは、大きな収穫はなかったものの、日本での生活ではない説明のしようのない緊張感と、いつしか自分が獲物となっているかもしれない野生の醍醐味を感じられる貴重な体験でした。JWCのキャンプもそんな中にあるため、ある朝にはアフリカゾウの群れがテント前を通過し、ある晩にはハイエナの鳴き声が泣き止まず、日中にはサバンナモンキーが恐る恐るテントの横を通過していくという、動物好きな人にはなんともいえない生活だと思います。(毎日、そこで生活していれば、当然麻痺してしまうでしょうけど) そんな中、今回のテレビ取材ですが、JWCの活動というよりは、出演するタレントさんが野生動物に触れ合うという内容で、その一部にJWCが登場するという内容でした。チーターを見守りながら、GPSを駆使して行動範囲をリサーチするところや、キャンプ生活の様子を撮影し、かなり大変な面もありましたが、無事に終えることができました。ただ、ディレクターが、台本無しに突然カメラを回しながら、私の方を撮影するので、なかなか気が抜けないところもあり、また、それに対してOKも出ないので、本当に今のでよかったのかという不安もありました。カットされていなければ、私のそんな表情が見られるかもしれません。普段は撮影する側なので、撮影される側の気持ちが分かる貴重な体験でもありました。
今後のチータープロジェクト
チータープロジェクトは、引き続き現地スタッフがリサーチ活動を続けます。当面はラブ4をメインに追跡調査を行います。JWCのホームページでは、そんなラブ4の今後の様子も、みなさんにお知らせしていく予定です。 また、コイアキ・レメックのJWCオフィスでは、今後、希望される方がいらっしゃれば、キャンプでのリサーチ活動に参加していただけるように準備を進めております。キャンプ参加についても追ってホームページで紹介します。
南アフリカでのチーター研修 - 福田ひな
チータープロジェクトへ参加
今回南アフリカに研修を受けに行くのは2回目。実際にいろいろな事を経験できるのはとても嬉しい事なので、現場研修の機会を与えたくれた代表の佐草に感謝しながらいざ南アフリカへ。
南アフリカは大地のエネルギーがすごい!なんか自然と元気がみなぎってくるような感じで、動物好きの私はテンションがあがりまくる。普通にその辺からイボイノシシやシマウマ、キリンなどが顔を出してくれる。とてもワクワクしてくる。
前回も南アフリカのカパマにある施設でチーターの飼育及び繁殖に関する研修を受けたけれど、今回は赤ちゃんチーターが3匹いたのでその育て方を教わることができた。通常赤ちゃんのチーターはお母さんが育てるのだけれど、この3匹のチーターのお母さんは赤ちゃんが産まれてから体調をこわしてしまったために人間の手で育てられる事になった。
大人のチーターが肉の塊を食べるのに対して赤ちゃんチーターには肉をミンチにしたものにビタミンや必要なサプリメントを混ぜて与えるので、それを施設のキッチンで調合して赤ちゃんチーターがいる囲いのところに運んで行く。赤ちゃんチーター達は本当にかわいくて食べ物を持っていくと、フェンスのところで待っている。こっちをみてはピャーって鳴く。「早くちょーだい!」って言っているのか、どっちかと言うと「くれ!」に近いのかもしれないけれど、フェンスに入るとみんな嬉しそうに後をついてくる。特にここにいた一匹のオスの赤ちゃんは食いしん坊で食べるのがとても早い。のんびりしているチビちゃんもいて一つのお皿で食事を与えると、そのお兄ちゃんがほとんど食べてしまうのでちゃんと3兄弟分を別々のお皿に載せて与えるようにした。それでも食べるのが早くてのんびりのチビちゃんの分を横取りしようとする。そのお兄ちゃんはコラコラと施設の飼育係りにもよく怒られていた。もう一匹の子はマイペースで食べ終えると私のズボンの裾を捕まえようとして遊び出す。その子は私にコラコラと怒られても知らんぷりで、気がつくとは3兄弟じゃれあって遊んでいる。こういう光景は一日中みていても飽きないほどかわいい。 チーターの赤ちゃん達を見ていると、単純に「君達元気に育ってね」という気持ちでいっぱいになる。
ラバーズレイン(Lovers Lane)
ラバーズレインはチーターがお見合いをする場所。私が訪れたこのカパマの施設ではなるべく自然に近い方法での繁殖を考えた末、このラバーズレインというチーターのお見合い広場とでもいうような場所ができた。どういうものかと言うと、メスのケージが両側に並んでいて(ケージと言っても南アフリカサイズなのでかなり広い)その間にある道(Lane)にオスが放たれ、そこをオスが行ったり来りしながら気に入ったメスを探すという形になっていてオスが興味を示したメスがそのオスに興味を示せばメスのケージの扉が開かれてお見合いが成立するという感じになっている。オスとメスが相思相愛じゃないとケージの扉を開けてもらえないというところがポイントで、これによってお見合いの成功率が上がる。 カパマの施設では毎年オスの生殖機能が正常であるかの検査を行っており、その検査にも以前立ち会う事ができた。 今回私が行った時は若い2頭のオスがラバーズレインに入っていた。若いオスは経験が浅いためにメスにアピールする方法がよく分からなくてお見合いがうまく行きにくい。時には、こういう若いオスがお手本にできるような経験のあるオスを一緒にラバーズレインに入れてアピールの方法を自然に学べるようにもしていた。オスがアピールすればメスにも意識が芽生えてくるためにお見合いが成立しやすくなる。 お見合いがうまく行くとかわいい赤ちゃんが産まれてくる事になる。
一番問題なのは、生まれてきたチーターをどうするかというところ
今アフリカではチーターの数が減ってきていて絶滅の危機にあるのは確かだけれど、困ったことにカパマで産まれてきたチーターの赤ちゃん達を自然に帰してあげるのは容易な事ではない。 産まれてきたかわいい赤ちゃん達を見ているとやっぱりその子達が一番幸せに暮らせる方法を考えてあげなければならないと思う。自然に帰してあげるのが動物にとって一番幸せな事でカパマの施設のスタッフもみんなそれを望んでいるもののそれはとても難しいのが現状。 まず問題として最近は人が新たにアフリカに移り住んだりして道を作ったり、家を建てたりしているためにチーター(他の動物もそうだけれど)の住む場所がなくなってきてしまっている。住むスペースが狭くなってしまってもそこにヒシヒシと身を寄せ合って生活していける動物もいるけれど、チーターの場合はオスにテリトリーがあるために、一定の範囲に住むことができるチーターの数は限られてしまう。 またチーターは狩で獲物を捕らえて生きて行く動物だけど、人間の手で育てられた場合は狩ができなくなってしまい、自然に離してあげたとしても獲物を仕留めることができず、すぐに死んでしまう。 現時点ではカパマで産まれてきた赤ちゃんは、そのままカパマで育てられるか動物園に売られていくという運命になっている。カパマでは絶滅に瀕するチーターを繁殖しているのはとてもいい事だと思ったものの、自然に帰すことができないでいるのはとても残念でならなかった。
動物の保護活動をしていて今一番感じる事
世界中にはいろいろな動物を保護したり、絶滅の危機にある動物の繁殖につとめたりしている団体があるけれども、一番難しいのは自然環境と人間が関わる環境全体のバランスをどうやってとっていくかというところだと思う。
動物保護にはいろいろな形があるけれど、私が考える最もいい活動方法は、絶えず周りを見ながら、いろいろな情報をキャッチし、柔軟にバランスよく人間と動物との共存を考えるというところにある。 最近日本ではサルやイノシシやクマが食べ物を求めて農家や民家を荒らし、問題になる事件をよく聞くけれど、チーターに関して言えば水不足のために、川や湖などが干上がってしまい、水を求めて農家の水溜めに集まってきてしまうということが起きている。農家などではそこにいる家畜を食べてしまったりするために見つかると殺されてしまい、問題になっている。 保護は保護でも周りとの調和を考えた上で絶滅する動物だったらその数を増やすことができればと思う。今回の研修を通してそれを一番強く感じることができた。 私が運よく出会ったJWCというこの団体は、代表の佐草がそのバランス感覚を大切にしながら活動をしている。また今回佐草が提案しているケニアでのチータープロジェクトの内容は今まで他の団体がやってきていないような人間と動物の共存を考えたものになっているので、たくさんの方がその内容に賛同しサポートいただけたら幸いと思う。そして、今後はたくさんの方達にもぜひ現地に足を運んでもらって実際にいろいろな経験をしてもらえたらとも思う。そういう機会を今後JWCで提供して行けるよう企画を考えていこうと思う。
ナミビアでのチーター研修 - 飯吉茜
ナミビアでのチーター研修
服の上からも、突き刺さる太陽の日差し 生気に満ちた野生動物の眼差し そして、広大な大地
野生動物保護活動は以前より世界中が注目している問題なので、私たちが普段、目や耳にする機会はよくあることですが、今回の研修で自分が知っていた事は、その事実のほんの一部に過ぎなかったということに気付かされました。
ナミビアのAfricatでは年間約70頭のチーターやヒョウが保護されています。その大半は害獣として母親を打ち殺されてしまった仔チーターや、ペットとして飼いきれなくなった大人のチーターだそうです。その中で、年齢や体調、保護している期間などを考慮し、再び野生に戻っても生き延びていけそうな固体のみが、次のステップのリハビリセンターへ移る事が出来きるのです。40ヘクタールの広大な土地には現在、リハビリ中のチーターとヒョウが4頭ずつと、アフリカを代表するキリンやシマウマ等多数の草食獣が放されています。センター内では人間が手を加えることなく、草食獣の繁殖数と肉食獣のハンティング数の弱肉強食バランスが取れているため、全体的な個体数が大きく変動することなく野生に近い環境を保つことができるのです。Africatでは長年試行錯誤を繰り返し、現在のこの方法にたどり着いたのでしょう。代表者のデイブは「草食獣を増やせば、リハビリセンターに放すチーターの数も増やせるんじゃないか?」との安易な質問に、首を横に振りながら「それができたらいいんだけどね」と渋い顔をしていました。そんなイギリスのBBCのカメラマンだったデイブは初めてAfricatを取材しにきた日から一度も自分の国に帰ることなく、住みついてしまったと笑っていました。それほどまでに彼を魅了したチーターとAfricat施設の素晴らしさが私は今回初めて現地へ行ってみてわかった気がします。
センターでは無責任に野に放つのではなく、放すチーターにはカラー(無線を発する首輪)を取り付け、テレメーター(無線をキャッチし、その方向や距離を示すアンテナのような機械)によって見つけ出し、狩が出来ているかなどの健康状態を定期的に確認しています。
広大な敷地の中で、私たちがそのとき出会ったのはオスとメスの兄弟チーターでした。一匹で狩をするには未熟なのか、その二匹はリハビリセンターにきてから約10ヶ月が経つ今も常に一緒に行動しているそうです。
通常チーターは死んでしまった動物の肉など見向きもしないといいますが、彼らが食べていたであろうバッファローの死骸を確認するために私たちが近づこうとすると、
それまでのんびりと昼寝をしていたのに、慌てて威嚇してきたのでした。 その目は真剣そのもので、一瞬にして辺りの空気が凍りつきました。 しかし私は命の危険を感じると同時に大きなショックを受けました。 本来食べるハズのない腐敗臭のする動物の死体を、他の動物に盗られまいと守る彼らは、親に育てられていないために、狩りをすることは容易ではないという現実を突き付けられた気がしたからです。 保護したり治療したりすることで命は救われますが、本来の生き方を失ってしまったら、それは救ったことになるのでしょうか・・・?
今まで850匹以上のチーターを救助し、その85%以上を野生にリリースした彼らにも、このように未だに解決策が無かったり新たに生まれてくる問題が沢山あるのが現状なのです。
私たちは、彼らや他の野生動物保護団体から多くのことを教えてもらっています。ただ傷ついた動物を保護するだけではなく、人間と動物との関係がいかに自然な形で営まれるようにサポートできるか等が、今後大きな課題となっていくでしょう。日常生活に関わらない分野であるがゆえの啓蒙活動の重要性や現地へ足を運ぶことの大きな意味など、今回の研修を通して学んだことはきっと次に繋がっていくと思います。
ナミビアでのチーター研修
どうかJWCという日本の団体が遠く離れた異国の地でチータープロジェクトを進める為、日々活動しているということを覚えていてください。
それが私たちの活動の第一歩となるのです。
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